サスペンスの神様ヒッチコックがそのスタイルを確立した記念碑的作品。外交官ハネイは「スミス夫人」と名のる謎の女を自室へ連れ帰るが、ロマンスは一転、彼女は何者かによって殺され、彼は逃避行を余儀なくされる。彼女は命を狙われ、恐怖におびえるスパイだったのだ。わずかな手がかりを頼りにスコットランドへ列車で向かう彼は、車内検閲の急場を同席した女パメラへのキスで逃れようとするが…。愛と死、セックスと殺人、世界の両極をなすものが遊び心いっぱいに提示され、交差し、逆転しながら描かれていく。面白くておそろしい、まぶしい光と不気味な影に溢れるサスペンスの絶品。
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